パン好きが、東武東上線に乗ってわざわざ買いに行くバゲットがあります。噛みしめるほどに小麦粉の風味が口いっぱいに広がるその1本。開店したばかりの「ブーランジュリー コトン」(埼玉・鶴瀬)の絶品バゲット誕生の“秘密”について紹介します。

東武東上線の準急で池袋から約30分、のどかな住宅街の広がる鶴瀬駅近くに7月27日にオープンした「ブーランジュリー コトン」。近所の方はもちろん、噂を聞きつけてわざわざ遠方から買いに来る人も多いと聞きます。オーナーブーランジェは、綿貫享(わたぬき あきら)さん。人気のバゲットの秘密を綿貫さんに話を聞きました。

産地やブランドではなく、小麦粉の特性を生かすことが大事
まず、パン作りのこだわりについて尋ねると、「小麦粉の産地やブランドが重要なのではなく、それぞれの特性を知り、味わいをしっかり生かすパン作りをしています」と綿貫さん。
数種類の粉を使い、その良さを生かす配合や製法を工夫する、そこに他店との差が出るといいます。
「熱々が焼き上がりました」というスタッフの声と共に並べられたのは、食パンやバゲット、デニッシュ、おかずパンなど35~40種類。

看板商品の「T バゲット」は、生地に小麦粉を3種類も使うそうです。焼き目も美しく、香り豊かなバゲットは、噛みしめるほどに小麦粉の味わいが口いっぱいに広がります。

「オランジェ」は、果肉のしっかりした新鮮なオレンジのコンポートを、丁寧に折って作ったデニッシュ生地にのせて焼いています。幾重もの層になった生地が繊細な食感で、甘さと酸味のハーモニーがとても上品です。

また、カレーパンは、見た目からサクサク感が伝わるフォトジェニックな丸い形。中のルーは地元で人気のカレー店「JAM3281」のもの。牛肉、豚肉がベースのスパイシーな味で、具の分量、とろみ加減なども、焼きカレーパンに合うように特別に調味していただいているそう。地元愛に溢れる逸品です。